2020年10月29日(木)

▼県教委の木平芳定教育長がいじめ防止強化月間(11月)の取り組みを発表し「生徒らの主体的な取り組みが広がり、意見交換や議論の機会も設けられている。自らの行動について考える機会にしてもらいたい」。「重大事態」が後追い続きで、児童生徒、保護者らとの対立が深刻化。何かせずばいたたまれまい

▼イメージカラーのピンクシャツ運動は初回からの月間のシンボル。目玉は目新しさではなく、その広がりにありということか。ピンク色のシャツではなく、マスクを着用して「いじめ撲滅」を訴えるという。ああまたか、という気はする

▼いじめはなくならないから発生に対しての措置が大切という教育委員と、なくならないと言っては児童生徒、保護者への責任が果たせないという教育長とが、県総合教育会議で論争になったことがある。「教育委員の言う通り」(県子ども局長=当時)という意見も少なくなかったが、県のいじめ対策は、教育長論で進められてきた

▼条例は基本理念で「学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨とし」とある。「撲滅」である。学校設置者には「相互に人権を尊重して良好な人間関係を築く素地を養うこと」を求める。しかし肝心の人権教育は前身の同和教育から変節し、上から目線の「思いやり」との混同が著しく「自分のこととして受け止める」教育に劣化が見られる。差別意識を自分のこととしてはねのける教育が衰えているということである

▼教育長の「自らの行動について考える機会にしてもらいたい」に異論はない。ぜひ県教委もと思う。