2020年10月28日(水)

▼「フッ、フッフ。○○屋、お主も悪よのぉ」「ホッ、ホッホ。お代官サマにはかないません」―は時代劇によくある場面。さらに大物の家老が黒幕として登場したりもする。最後はまとめて一掃されるのが定番だ

▼桑員河川漁協組合長を被告にした恐喝未遂、強要未遂事件が公判中だ。宅地開発業者が桑名市の指示に従って工事承認を求めて同漁協に出向き「協賛金」を要求されたというのだが、同市の伊藤徳宇市長が「不当要求に屈しない桑名にするため」不当要求防止策を明らかにした

▼工事承認を漁協に求める行政指導自体は県の指示でもあり継続していくが「警察と連携して毅然とした対応をしていくことを約束する」。御用商人だけが捕らえられ、お代官サマの方は「いや、これはもともとご家老の命令で」と、口をぬぐって藩政改革に乗り出したような気がしないか

▼市の担当者は、市の指導が容疑につながったことは認めたが「悪いのは組合長であり、市に責任は一切ない」。「こりゃ○○屋、神妙にしろ」というわけだろう。一方の〝ご家老〟ならぬ県も「協力金の支払いに見て見ぬふりを続けた」と、議会で証拠の文書の存在も示唆されて、県土整備部は「不当要求を根絶する取り組みを検討する」

▼過去のことはまあ、いいじゃないか。これからのことを話しましょうという、いつもの手口だろう。毎年厳しいマイナスシーリングを実施しているはずが特定漁協への報償費は支払い続け、問題が表面化すると「使命を終えた」

▼事実は小説よりも奇なり。地方行政は時代劇よりも奇なり。不誠実でもある。