2020年10月30日(金)

▼合併時の“約束”事である旧市町村ごとの支所設置を覆す方針を固めて、伊賀市総務課は「今までと同じことは続けられない」と言い放った。今の世でいつまでも15年前の約束を守っていられるか、みたいな鼻息だ

▼支所経費の大半が職員の人件費だから職員の担っている住民サービスごと廃止するという。各支所の老朽化も廃止の大きな理由と伝える本紙企画『伊賀市政の課題』の添付写真、島ヶ原支所はなかなか立派だ

▼平成の大合併では、旧市町村で庁舎建設ラッシュが起きた。どうせ貯金も借金も新市町に引き継がれる、この際真新しい庁舎で仕事をしてみなければ損だというわけだ。伊賀地域も市民ホールなどの新施設が続々駆け込み建設された

▼いずれ無駄の象徴になるとの市民らの予測だったが、どうか。その検討より市民サービスを削った方が手っ取り早いと踏んだのかもしれない

▼支所の主業務である住民票の写しも最近はコンビニで発行でき、支所は全体の3割以下という。高齢化の進む伊賀市で、マイナンパーカードが必要でマルチコピー機を操作するコンビニでの発行がそれほど利用されているということか。京都のコンビニが紙切れで「Go Toイート」の発券を中止した

▼「私の後ろにずらりと列が並び、若い店員さんがかわいそう」というのは県内コンビニで食事券発行を求めた知人の話。業務が多様化する中、行政サービスが満足に提供できるかどうか

▼伊賀市は昨年1月、新庁舎での業務を開始した。庁舎計画は一括で―。そうすれば賛否は違ってきたという旧町村の市民も多かろう。