2020年10月17日(土)

▼「三寒四温」は3日寒い日が続くと4日間、暖かい日が訪れるの意。春先の時候のあいさつなどに用いられるが、日本にそんな周期はほとんどなく、元は中国の東北部や朝鮮半島北部の言葉で、冬の気候を表していたが日本に伝わり意味が変わってきたという

▼ともあれ、世は生々流転だ。日本人といえども、一方向にまっしぐらばかりではないのだろう。日本郵便が契約社員に扶養手当などを支給しないことの是非が争われた訴訟で、最高裁第一小法廷は「労働条件の相違は不合理」と判断。原告側の全面勝利となった

▼別の非正規社員が賞与と退職金の不支給を争った2日前の最高裁第三小法廷は「不合理とまでは言えない」として雇用側の裁量を大きく認めた。単純に言えば、夏季・冬季休暇は有給だが、賞与は認めないとなる。後者の第三小法廷は夏季休暇を与えなかったことへの損害賠償は命じているから複雑だ

▼第三小法廷はアルバイトや契約社員の仕事は正社員に比べ複雑ではない、と言っている。そんな作業区分を徹底してきた県などは拍手喝采だろう。配置転換もないから不合理な格差ではないというのだ。労働の評価の問題ではあるが、支給するかしないかとは別の話ではないか

▼賞与や退職金は日本の終身雇用制度の中では給与同然に扱われてきた。バブル崩壊後に企業の雇用の安全弁として非正規労働者が増え、給与制度も分断された。労働者が求めても、正規になりにくい現実がある

▼木を見て森を見ずという。最高裁判事には深淵な森ではなく、木枯らしに揺れる木や葉に目を向けてもらいたい。