2020年10月16日(金)

▼県で前回開催された昭和50年の三重国体は石油危機後の厳しい財政状況で「ケチケチ国体」といわれた。開会式用の赤じゅうたんを紙製に代えたのがその象徴とされ、当時の田川亮三知事は経費削減の知恵と工夫を誇り「やればできるんだ。豪華絢爛へ傾斜一筋だった国体のあり方にも歯止めをかけ、以後、三重モデルと言われた」と胸を張った

▼知事というのは似たようなことを言うものだが、歯止めがかかったはずの豪華絢爛が今どうかはともかく、46年ぶりの来年の三重とこわか国体・とこわか大会は財政難に加えてコロナ禍が見通せない中での開催。経費削減とコロナ対策の一石二鳥をめざす「国体史上初のオンライン式典」構想は意義深く、巡り合わせの妙に感慨も深い

▼屋外から屋内に変えてコロナ対策になるのかは疑問だが、伊勢市から津市への変更とセットなのだろう。経費削減に比重ということか。来賓など式典関係者だけでなく、選手も一部別会場でのオンライン参加になるらしい。「選手ファースト」の鈴木英敬知事の看板の方はお忘れなく

▼東京五輪はIOC(国際オリンピック委員会)が開閉会式縮小を強く否定している。スポンサーの意向であり、IOCの財政問題でもあろうが、開閉会をどう盛り上げるかにスポーツ大会の成否がかかることも確か

▼「オンライン式典」のイメージは湧かないが「工夫すればスポーツイベントはできる」(鈴木知事)だけでは物足りない。「映像やデジタル技術を駆使し式典を盛り上げたい」(同)の意気込みに「現実の式典以上に」の言葉を加えたい。