2020年10月5日(月)

▼花を手に性暴力撲滅を訴える毎月11日の「フラワーデモ」が、今月は3日に緊急開催され、性暴力被害を巡り「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した自民党の杉田水脈衆院議員に「謝罪と議員辞職を」と声を上げた

▼月刊誌『新潮45』(休刊)に「LGBTは生産性がない」などと寄稿した時もネットが炎上し、抗議デモが発生した。〝お騒がせ〟の常連という印象で、党からは今回も注意だが、党内の風当たりは前より厳しそうだ

▼同情の余地がない発言というのはその通りだが、気の毒な気がしなくもない。杉田議員個人を知るわけではないが、男性社会の中で女性が頭角を現すのは男性と競い合い、男性を基準にした評価で数倍の実績を上げなければならないのが一般的だからだ。いきおい、男性の思考パターンに近くなる

▼世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ(男女格差)が先進国中最下位の脱出に、野田聖子衆院議員が議員定数にクオーター制導入を唱えるのに対し、高市早苗議員は能力主義を主張する。平塚らいてうと与謝野晶子の女性解放論争は、半世紀を経た今日も続く

▼杉田議員が「LGBTは生産性―」と言ったのは柳沢伯夫厚労相(当時)が「女性は産む機械」と発言した10年後である。性暴力被害を訴える伊藤詩織さんから告訴された元TBS記者への逮捕状が政治的圧力で執行されなかったなどの疑惑があったのは4年前。男性の思考パターン健在なりである

▼男性らしく振る舞うスーパー女性がいて、男性の代弁者となっていくのに不思議はない。痛々しい限りではある。