2020年6月7日(日)

▼児童虐待相談が令和元年度、統計を取り始めた平成2年度以降最多となり、鈴木英敬知事が「関心を持つ人が増えてではあるが重く受け止める」。21年度以降、12年連続で前年度比増を繰り返し、過去最多も5年連続。ピンとこないコメントではある

▼年齢別で零歳児の186件が最多で、全体の約半数が未就学児という。4月が減少に転じたのはコロナ禍での臨時休校で学校からの通告が減ったためというのだが、令和元年度の統計に関係するのだろうか。知事のコメントは「だからといって虐待がなくなったわけではない。気を引き締めて対応する」

▼年度の期間が一般行政とは違うのかもしれない。「関心を持つ人が増えての増加」と「休校での通告減」がどう整合するかも謎だろう。県の虐待検証事例4件のうち2件は児童相談所と学校との連携不足が大きな要因だった。学校の窓口が閉ざされ、それでも増加していることへのコメントが「だからといって虐待がなくなったわけではない」ではやはりピンとこない気がする

▼虐待対応は知事自慢のカナダ直輸入。安倍晋三首相から引用されたりしたが、実際の効果はどうか。要保護児童対策地域協議会の警察参加が目玉だったが、ブラジル国籍6歳女児虐待死事件では要対協へあがってもいなかった

▼昨年の同居男性のブラジル国籍5歳男児暴行事件など、外国籍児童問題は検証委でも指摘されているが、相談件数に国内外の別はない。対策の決め手は民間活用などマンパワー充実と的確な想像力による問題点摘出。システム整備しただけで安心はできない。