2020年6月1日(月)

▼愛知医大が東京、愛知など4都県でコロナ禍での生活を調査したら、自由記述の記入率が6割以上だった。異例の高率という。長引く自粛でのストレス蓄積が原因というからネットで誹謗中傷が横行するはずだ

▼「病気以上に差別、偏見が怖い」という一方で「パチンコやサーフィンに行く人に怒りを感じる」「マスクをせずにランニングや散歩をしている人を見ると不安」。自粛を守らぬ人への批判が目立つという。社会に相互監視がじわり浸透している

▼県外ナンバー運転者の検温を実施し「まずいところに来てしまったと、後悔をしていただくようになればいい」と伊原木隆太岡山県知事が発言して物議をかもしたが、「ビックリするぐらいの言葉を使わなければ、県外で配信してもらえないという思いで」と釈明している

▼県外ナンバーの調査をした徳島県の飯泉嘉門知事も報道狙いがあったか。中傷、投石が続出し、県外ナンバーを断るパチンコ店も現れた。松戸市ではパチンコ店近くで市職員が「緊急事態宣言発令中」の横断幕を掲げ「営業するな」「帰れ」など怒声をあげる市民と客のトラブルも

▼山田健太専修大教授(言論法)は「首長、報道、情報不足の不安が〝敵〟を作り出す」とし「政府や自治体は情報発信のあり方を見直し、メディアにも批判的視点が必要」と話す。同じ穴のムジナということだろう

▼県は差別根絶の訴えや民間への自粛要請が独自でできる条例制定を目指す。罰則は想定していないそうだから、同調圧力頼み、相互監視を期待ということか。お見事。社会の分断をあおる気はする。