<まる見えリポート>緊急事態解除どう対応 隣県に感染者、警戒続く

【新型コロナウイルス県内感染者の累計】

三重県内で新型コロナウイルスの新たな感染者が確認されなくなってから半月が過ぎた。県は感染防止と経済社会活動の両立という「新たなステージ」に向け、休業要請や外出自粛の呼び掛けを緩和。政府は一部の地域で緊急事態宣言を解除することも検討しており、今後は三重が解除の対象となるかが注目される。ただ、近隣では依然として新たな感染者が確認されている地域もあるため、県境をまたぐ移動が増えれば再び新たな感染者が発生する可能性も。県は「まだまだ予断は許さない状況だ」と警戒する。

県によると、10日までに県内で確認された感染者は45人。4月中の感染者は34人と急増したが、同月24日を最後に新たな感染者は確認されていない。文字通り「感染未確認地域」となっている。

さらに、このうち31人は既に退院し、入院中の患者は13人にとどまる。一時は「ひっ迫している」とされた県内の病床数についても、新たに百床を確保したことで一定の余裕が生まれたようだ。

これを踏まえ、県は7日に東海3県で唯一、緊急事態措置を緩和した。休業要請の一部や飲食店の時短営業要請を解除。県内での外出も「3密」の回避などを条件に自粛を呼び掛けないことにした。

そんな中、新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済再生相は7日の記者会見で、直近1週間の新規感染者数がゼロとなっている17県で、緊急事態宣言の解除が視野に入るとの考えを示した。

この発言を踏まえると、三重は解除の視野に入ることになる。政府は14日をめどに解除の判断基準を示す見通しといい、県職員らも「三重が解除の対象となる可能性は高いのでは」と見立てる。

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ただ、三重が解除の対象となっても引き続き警戒が必要であることに変わりはなさそうだ。三重は重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」のうち、愛知、岐阜、京都と隣接している。

この状況に、県は「県境をまたぐ移動」の自粛を強調する。以前から「感染経路の9割以上は県外」と訴えてきたが、緩和後は「これまで以上の徹底」という言葉を使い、より強く呼び掛けている。

宿泊施設には引き続き県外からの予約を延期してもらうよう求め、多くの来県が見込まれる屋外体験施設を対象とした予約延期協力金も新設。イベントも他県からの参加が見込まれるものは自粛を求めている。

その影響もあってか、県内でも引き続き一定の自粛が続いている。遊園地やテーマパークは休業要請の対象外となったが、県外からの利用があることなどを想定し、多くが休業を続けている。

県は「解除」にどう備えるのか。鈴木英敬知事は8日、政府の判断基準が示された場合に対応するための「基本的な考え方」の検討を幹部らに指示した。「基本的な考え方」は近く公表される見通しだ。