2020年5月10日(日)

▼新型コロナウイルスとの戦いを戦争に例えることにはくみしないが、世界の紛争地を歩いた緒方貞子元国連難民高等弁務官が言っていた。戦闘が激化しているとき、支援物資は世界から集まるが、和平が成立し、国の再建や難民の帰還問題など、人間のために必要な取り組みを進めなければならない段階になると、支援資金、物資はストップしてしまう、と

▼6日までの休業要請に協力金や制度を奮発した県は、31日までの休業要請延長には追加協力金を見送った。「財源を含めて市町と議論した結果」と、三重県は市町のせいみたいなことを言う。愛知、岐阜両県も見送ったからとも言う。みんなで渡れば怖くはないか

▼「そもそも協力金は休業補償ではない」と鈴木英敬知事。「休業を促すための給付」というのだか、だからどうだというのだろう。6日まで期限を切った要請の協力金が、期限延長でも効力は失われないとでも言いたいのか

▼「経営支援は他の制度があり、充実させる必要がある」とも。協力金見送り業者がどう思うかは先刻承知ということである。「充実」の具体策はないが、とりあえずリップサービスだけ、とでも

▼田川県政当時、国と県で「検討」の言葉の使い方が大きく異なっていた。国は先送り、県は近く結果を出すの意味で、「前向きに」の言葉が県には透けていた。知事は5日の会見で追加協力金について「市町の意見を聞いて判断したい」と言ったが「きょうの時点では検討中」とも言った

▼何らかの措置が出てくると期待した古い記者としては知事が官僚出身であることを忘れていた。