2020年5月9日(土)

▼コロナ禍に伴う医療用資機材の購入などのため、県が県職員や教職員から寄付を募ることにしたのは「感染症の影響を受けている人の力になりたい」という県職員労組と教職員組合が提案し、鈴木英敬知事が受け入れたのだという。「提案をうれしく思う」とコメントした

▼寄付のそれぞれの原資は政府が一律給付する10万円を想定してのことだろう。湯崎英彦広島県知事が一方的に県財源として活用する考えを示して話題となり、同県労組と同様、三重県職員の間でも「横暴」の声が上がっていると報じられていた。鈴木知事は賛否半ばするとし「皆の気持ちと県民への還元をどう両立させるか議論している」と語っていた。二労組からの提案の形で結実したというなら知事の政治手腕も水際立ってきた

▼減収家族への30万円支援から一律10万円へ変遷した施策である。減収と無縁の公務員が受けることの正当性について問えば理屈の名手、県職員らは100万言費やして尽きぬことは「人権」を持ち出したのをみても分かるが、県民の気持ちを配慮してかどうか

▼県職員の寄付と言えばカラ出張を思い出す。出張と偽って職員同士で巨額の税金を飲み食いした事件だが、罪を問わぬことにして全面供述を求め、犯行の有無に関係なく課長級以上が一律返却することにして、OBが有志の形で寄付を募った

▼「身に覚えのない犯罪を認めることになる」と反発はあったが、当然ながら少数派だった。OB有志はむろん腹いっぱい飲み食いした向きが多数派だが、寄付は美談仕立てで受領された。イメージは時により本筋に勝る。