2020年4月14日(火)

▼新型コロナウイルス感染者が新たに2人見つかり、計17人になった。歩調を合わせる東海3県の愛知、岐阜に比べれば〝軽症〟に違いないが、人心は相対評価では計れない。じわじわと見えない敵が迫ってくるようで、心理的圧迫感は大きいのではないか

▼津市内の60代男性会社員は、名古屋市内で確認された感染者と同じ愛知県内の職場で勤務しているのだという。判じ物を解かされる感じでにわかにピンとこない。最後に同僚感染者と接触したのが先月30日で、今月3日まで電車やバスで通勤していたという。濃厚接触者の数は公表されていない

▼同僚が感染したことで、本人も濃厚接触者になっていたのかどうか。そんな人々が県内にほかにいるのか。県は把握しているのか。分からぬことはどんどん増えているが、県の情報提供の範囲、姿勢は変わらない。一方で、山口県で鈴鹿市の練習会参加者の感染が確認された。一度陰性と診断されての陽性転換という。県民のストレスは拡大する一方ではないか

▼鈴木英敬知事は感染封じ込めを目指して先手、先手と対応してきた。8都道府県の訪問自粛を呼びかけたのは先月30日。政府の緊急事態宣言とともに東海3県と足並みをそろえてこの10日、感染拡大阻止緊急宣言を出した。しかし、それらの対策をすりぬけるように感染が広がっている。人知がどこまでおよぶか。封じ込めから感染者が出た場合の対策へ、公表体制も見直すべきではないか

▼知事はあらためて移動自粛を求めた。県民との信頼関係が、そのためには何よりも重要なことは言うまでもない。