2020年4月12日(日)

▼新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つ、在宅勤務を促すため、県は制度改正し、対象者の範囲を拡大した。国の緊急事態宣言に右ならいするためで「在宅勤務の職員を増やすことを目的にしているのではない」と人事課。ウイルス相手に、効果は極めて限定的ということだろう

▼県庁舎から持ち出せるパソコンは40台。県外勤務者がうち半数を使用済み。情報保護の観点からネットへの接続も不許可。確かに国の意向に見かけ上歩調を合わせただけというのは本音で、「感染拡大防止策」などと言っては赤面の至りかもしれない

▼県の情報保護と重点施策のスマート改革の矛盾をよく説明しているように思う。ペーパーレス化、すなわち「ビジネスICT(情報通信技術)の導入」やスマート技術の活用などがいかに情報保護を危険にさらすか、そして、県の中枢組織である人事課がどちらを優先するかを雄弁に物語っているのである

▼明和町の感染者2人も、県の発表は首都圏からの帰省者との接触などとしただけで、翌日の企業側の公表で詳細が分かったのも、ウイルス相手に心細い。首都圏との関わりとの県の公表が何を指すかは不明のまま。またも情報保護が優先され、県民の感染防止は二の次と感じる向きも少なくないのではないか

▼個人情報保護やプライバシー、人権擁護のためには仕方ない、企業側に公開を委ねるのは断じて責任転嫁のためではないということだろう。個人情報保護と公益の比較衡量について、これほど真剣に考えざるを得なくなるとは想定もしていなかった、ということでもあろう。