2020年3月6日(金)

▼カラ出張で県が大揺れしているころ、県教委は我関せずとばかりにカラ出張を続けていた。だから埋蔵文化財センターの技師が上司らの印鑑を無断使用して文書を偽造していたと言ってもそう驚くにはあたるまい。カラ出張と印鑑の無断使用は、実は密接な関係がある

▼カラ出張が発覚したのは、阪神淡路大震災で交通網が遮断されている中で、県監査委員事務局が九州へ出張したことになっていたからだ。印鑑を管理していた臨時職員が日付を適当にばらけて出張費請求書に決済印を押していた

▼津県民局で架空契約事件が起きたのは、それから10年後である。河川調査事業で、臨時職員が民間業者に架空の調査を発注した。パソコンから契約文書を引き出し、複数の書類に紛れ込ませて印鑑を管理している職員から〝決済〟印を得た。印鑑が本人ではなく、事務職員がおざなりに管理していたというのは同じである

▼男性文化財技師は上司ら6人の印鑑を机の引き出しから無断で取り出していたが、こちらは発覚しなかった。ばれたのは量販店で購入した8人分の一つが、自分の印影とは違うと気づかれたからだ。印鑑の管理は25年間さして変わっていないといっていいだろう

▼「業務の遅れを取り繕おうとした」ためという。内部統制の問題で、県民が迷惑を被ったわけではなさそうだ。「大変なことをして、申し訳ない」の謝罪は謝罪として「職員の規律違反が続く中での発生を重く受け止めている」と、県教委社会教育・文化財保護課。またもやすやすと印鑑不正使用を許した。その責任の方を問いたくはなる。