2020年3月5日(木)

▼県議会で答弁が長引いたことについて、議会運営委員会が執行部側に答弁を「簡潔で明快」にするよう申し入れた。「簡潔に」とか「聞いてないことまで答えないように」というのは、昔は共産党県議を中心に議場から、また壇上からもよく注文されたが、議運が申し入れるのは異例

▼一般質問は、議員が質問項目を通告し、執行部が内容を聞き取る。質問と答弁がかみ合わないことを防ぐためだが、そのため、質問趣旨を深掘り、あるいは誤解し、はなはだしいのは質問する前に答えてしまうことがままあった。「簡潔で明快」と丁寧な答弁はしばしば行き違う

▼議運は、答弁を中断しようとした議員の議事進行発言を実質採用しなかった議長の判断を「裁量内」とし、執行部答弁は誰も異論のない「簡潔、明快に」の内容で納めた。申し分のない裁定ではある。気になるのは、答弁者がたまたま女性幹部だったことだ

▼女性の幹部登用にかつていくつかあった見えないガラスの一つに「議会答弁への不安」があった。部内局長ながら女性が本会議で答弁するポストに就いたのは平成21年ごろ。それまでは女性最高位は答弁のない外局の局長にとどまった

▼女性部長の登場は同26年の廣田恵子雇用経済部長(現教育長)まで待たなければならないが、廣田氏が二年で教育長転任した後は部長の後続はなく、局長の二人は就任後三年を経過している。いまさら「議会答弁の不安」が女性登用のガラスの天井になるはずもなかろうが、足を引っ張るにはなかなか威力があった題目であり、またぞろ復活することを恐れる。