2020年1月14日(火)

▼共同通信社の全国電話世論調査で、統合型リゾート施設(IR)整備について「見直すべき」が70・6%。反対が多数を占めるのが報道機関の調査だが、その中でも飛び抜けた結果になった。賛成が4割強を示すことのもある企業など対象の調査はどんな動きを示すか

▼「政治家の疑惑は徹底追求」すべきだが、そのためにイメージが悪化し「『IRは悪いもの』となっているのは違う」と言ったのは桑名市の伊藤徳宇市長。汚職事件とIRの善しあしは分けて考えるべきだというのだろうが、学者ならともかく、現実社会を扱う政治家としてはいかがなものか。アリが集まるのは蜜があるからで、だからとって蜜に責任は問えない

▼いつぞや鈴鹿市でボートピア(競艇場外発売場)誘致騒ぎが起きた。市長は関知せず自治会連合会が誘致運動主体ということで、同会長を団長に視察団が編成されたが、事務局は市職員が務め、同行した。衣の下によろいが見える格好。ほかにも誘致話は多く、行政に詳しい県OBらが運動の最前線にいたが、いずれも水面下。「公になったらつぶれる」と懇願された

▼水清ければ魚すまず。秘ミツ、隠ミツが欠かせないところは甘い汁の薫り漂う場所だ。IRをカジノの隠れみのと考える関係者がいる限り、政策遂行者は常にその誘惑にさらされることになる。汚職事件は一部不心得者の仕業というのは、人間のさがを見誤っていないか

▼射幸心をあおり、運不運をメシの種にしようというのである。県の調査も「メリット、デメリットなど」(鈴木英敬知事)で「良いか悪いか」ではない。