<まる見えリポート>中学ランナー躍進 都道府県駅伝、三重県代表 全中強化策も追い風に

【倉本晃羽選手=写真左=と(右から)澤井風月選手、松本未空選手】

駅伝シーズンを締めくくる男女都道府県駅伝が各地で行われている。三重長距離界の今季の話題を語る上で欠かせないのが中学生の躍進。昨年8月の全国中学校体育大会(全中)で嬉野中3年の澤井風月さんが女子1500メートルで3位、平田野中2年の松本未空さんが800メートルで4位。12月の全国中学駅伝では白子中が県男子過去最高順位を更新する4位入賞を果たした。今年8月に伊勢市で開かれる全中を見据えた強化策も背景に全国屈指のランナーに成長した中学生ら。県選抜入りした都道府県駅伝で「大砲級」(三重陸協役員)の活躍が期待されている。

白子中は昨年暮れの男子全国中学駅伝1区で3年生の倉本晃羽主将が全国トップに躍り出た。その後やや順位を落としたが県男子過去最高の4位を維持してそのままゴール。3年生アンカーの芝田翼君は「皆が頑張って上位でつないだ。抜かされなくてほっとした」とゴールした時の気持ちを振り返る。

生徒数900人超のマンモス校。陸上競技部も2018年度実績で男子長距離部員18人と県内屈指の選手層を誇る。同じ市内の神戸中を率いて男女で全国中学駅伝に出場した経験を持つ角谷和宏教諭が5年前から着任し指導体制も充実した。

一昨年の全国中学駅伝で初の男女アベック出場。初出場の男子は1区倉本君の健闘もあり27位でゴールした。1年後の目標を「県最高順位」(倉本君)に定めて大型のメディシンボールを使った体幹トレーニング、脚力を鍛える目的のタイヤ引きなど新しい練習にも取り組んだ。昨年11月には倉本君が3000メートルで8分27秒92の県中学新記録を出し全国中学生のトップに立ってチームを勢い付けた。

2年連続2度目の全国中学駅伝では出走メンバー全員が落ち着いた走りを見せた。4区で区間7位と粘った3年生の篠﨑大地君は「後ろから追いかけてくるプレッシャーがすごかった」が「今まで積み重ねてきた練習が自信になった」。

5区の2年生、ヤマニハレオナルド君は県予選では控えメンバーだった。初の大舞台だったが4位で受けたタスキを4位でつなぎ角谷教諭の抜てきに応えた。県予選で5区を走った同学年の新開翔太君は全国中学駅伝会場で行われた3キロのオープンレースで162人中8位と健闘し、選手層の厚さを見せつけた。

角谷教諭と倉本君は昨年3月、2018年の全国中学駅伝で史上初の男女アベック優勝を達成した桂中(京都)を訪れている。桂中の練習をならって長距離走の強化にタイヤ引きを取り入れたという角谷教諭。倉本君へ与えた影響についても「良い意識付けになった。モチベーションも上がったのではないか」。

地元全中に向けた三重陸協の強化活動の一環で、倉本君以外に澤井さん、松本さんも中学の指導者とともに訪問。同月開催の静岡県中体連の合宿にも参加した。澤井選手は「速い人と練習ができて良かった。それまで全国大会で出来なかった自分の走りができるようになった」と感想を話す。

今月12日に京都で行われた女子都道府県駅伝で澤井さんは3区4位、松本さんは8区16位と健闘した。19日に広島で行われる男子都道府県駅伝では倉本君の2年連続の2区起用が濃厚。昨年は区間17位だった倉本君は年明けの県選抜合同練習会で「1位を狙いたい」と力強く抱負を語っている。