▼「四日市公災害を考える会」が四日市市が予定する工場の緑地率を縮小する条例案に対し「住居がコンビナートに挟まれているところをどう改善するのか、逆行している」と反対を申し入れた
▼条例案は「環境へ配慮する本市では、国の定める範囲を踏まえながらも、特に工場と工場周辺地域の生活環境との調和を重視することとし」と記している。「現行規定により整備されている工場敷地内の周辺部の環境施設が維持される基準を設定します」と続くが、前段の「生活環境との調和」が未整備なのに現行を維持してどうする、ということだろう
▼「考える会」の萩原量吉元県議が79歳。会見写真で両脇に座る2人も高齢。「四日市公害と環境未来館」がようやく完成したのを見届けるように、被害者を支えた「四日市公害を記録する会」代表の澤井余志郞さんが逝き、四日市公害訴訟の原告9人の唯一の存命者、野田之一さんもこの1月死去した。風化の懸念が現実になることへの危機感が彼らを駆り立てるのではないか
▼四日市公害裁判は、立証責任の企業への転嫁と、経済性を度外視した防止措置を義務づけた。住民の工場立ち入り調査はじめ、県は以後国の環境行政をリードしたが、萩原元県議が汚染物質情報の公開を申し入れた昨年9月、企業への意見照会結果を待つように回答した。監視を伴う調査の要求には「環境省に問い合わせて」。後退は明らか
▼工場の緑地率を定めた工場立地法も四日市公害訴訟を受けた法律だが、平成16年緩和された。四日市市は、さらなる緩和をめざして全国をリードする。