2019年11月30日(土)

▼県議会の議案質疑で、知事ら特別職の期末手当引き上げ案について、財政の健全化に取り組む姿勢を県民に示していたのに「分かりにくい。取り下げては」。鈴木英敬知事にとって意外な指摘だったのではないか。給与三割カット、退職手当ゼロを公約に初当選し二期目で旧に戻すについては県議会の意向も理由にあげた。真逆の指摘だからである

▼答弁が「人事院勧告など制度のあり方を基本的に最大限尊重しなければならない」だったのも、いささかの動揺が見られないか。人勧の尊重は当然として「基本的に最大限」とまでは考えているのかどうか。「個人的な見解」とした上で、自社の財政、経営状況を全く考慮せずに、他社の給与がこうだからうちもというのは「普通の企業ではあり得ない話」。だから人勧は「制度としては完全とは言えない」とかつては言い切っていた

▼知事の一期目の議会が、知事給与に神経質だったのは間違いない。知事選公約で議員報酬と定数の削減にまで踏み込んでいた。自身の報酬を引き下げた時、議会は次の矛先は自分たちだと意識し、議会への介入だと反発もした

▼知事の政治資金パーティーに県と取引のある業者が参加していることを批判し「退職金をもらう、もらわないが首長選挙の公約であってはならない」と苦言。本来大きなお世話の他人の報酬に対し、旧に戻せと求めたのである

▼議会改革の”僭越“を認めて、給与は復して今回、国の人勧に沿って自身の期末手当を上げる。知事後援会の収入も前年比から順位を上げ三位。議会もおい、おいというところかもしれぬ。