2019年11月28日(木)

▼県議会の中嶋年規、北川裕之正副議長が紀北町の残土埋め立て現場を視察し「(土砂)条例の必要性を改めて感じた」。8月に視察した環境生活農林水産常任委員会の谷川孝栄委員長も「すごい量に驚いた」

▼3年前に条例制定の請願が採択されたが県は「条例制定による新たな規制が必要な状況ではない」と無視され、鈴木英敬知事が1月に視察して急転換した。県はいったい何を見ていたか、改めて考えさせられる

▼知事が視察する1月18日の1週間前にも、NPO法人「廃棄物問題ネットワーク三重」が県に申し入れている。「請願が採択されて3年以上も放置し、残土持ち込みと堆積を容認してきた責任は重大」という指摘に、県大気水環境課は「法律で対処できると判断した」

▼知事が再検討を指示して4カ月後の議会では「県民の安全安心を確保するため条例を制定する必要」(県環境生活部長)「既存法令では適用範囲や条件が限らる」(同部大気・水環境課長)。県民か知事か、どこを見て行政を進めているか

▼2月議会で「(知事は)すごい」と言ったのは地元選出の津村衛県議。県民が訴えようが、議会が採択しようが、県に県民の苦衷を知る何の効果もなかったことが背景にあるのだろう。それでいいのか。知事はこう答えている

▼「組織として必要はないと答えたのはやっぱり重いこと。仮に覆すならそれは相当の検討をしっかりした上でお答えしないといけない」。今や条例成立が当然の流れ。「相当の検討」はどうなったか。説明がしっかりなされなければ県はヒラメ職員ばかりと見られよう。