2019年10月21日(月)

▼「電子県庁」を提唱したのは北川正恭知事(当時)だった。平成7年の就任間もなくでインターネット普及前夜。今とは性格もすいぶん違うが、職員1人1台のパソコンの大号令をかけた

▼「あれは若いもんが使えばいいんだ」と机の上の閉じたパソコンをアゴで指し、保健環境部長が言ったものだ。使い方を学ぶ気もないとしながら1冊の本を示した。「知事の言ってることは、大体この本に書かれている」

▼購入機種の販売会社の役員の除籍登記に北川氏の名前があると議会で追及されるおまけまでついたが、閑話休題。定着するのに十分な期間を経た平成12年6月、雪印乳業(現・雪印メグミルク)の集団食中毒事件が発生した

▼認定者数約1万5千人。戦後最大の集団食中毒事件というが、まず大阪市内で問題になり、大阪保健所の立ち入り調査や周辺県への拡大で大問題の兆しとなってから数日後、県の保健所からも4、5日前に本庁に被害事例が報告されていたことが発覚した。報告手段はパソコン。本庁側が誰もパソコンを開かなかったことが遅れた原因だった

▼県南部で大雨の避難指示や勧告が出た19日、災害情報を発信する県のホームページがサーバーの障害で約1時間15分閲覧できなかった。この日だったのはたまたまか。アクセス集中のせいではないというのは、県民からの通報で分かったわけでもないということか。喜ぶべきか悲しむべきか

▼鈴木英敬知事が推進するのは「スマート県庁」。「電子」から「スマート」へ。生産性と正確性の両立という趣旨はむろんブラックジョークではない。