2019年10月19日(土)

▼児童生徒の平成30年度問題行動等調査で、暴力行為が4年ぶりに増加した。その4年前は前年比6件増の906件。翌年度に5件減となって29年度までに793件になっていたのが、何と435件増の1228件だ

▼丁寧にみるようにしたためと言うが、定義が変わったわけでもないのにこの急増ぶり。「衝動が抑えられずに繰り返し暴力行為に及ぶ児童が増えている」という県教委の説明とのちぐはぐさは否めない。思えば昭和50年代後半、全国に広がった荒れる教育現場の発祥の地が県だった

▼「体力のある教師を配置すればいっぺんに治まります」と当時、県教委は豪語し、体育会系の教員を派遣することで押さえ込んだ。今は、校庭を走らせたり教室で立たせても「体罰」とされる時代。その体質を植えつけた県教委が、いまさら「体罰はいかなる場合も許されない」と言っても県教委自身、ではどうすればいいか処方箋は示せないのではないか

▼「非行調査」から「問題行動調査」に名称が変わったのもそのころ。呼び方が児童生徒に与える影響が問われただけで、内容は暴力行為中心だったが、今やいじめの比重が増え、不登校、中途退学へ広がり、いじめなどが絡み合う

▼定時制、通信制の中途退学者を除き、すべてで増加。前年度は不登校児童生徒解消の効果的措置を県独自で調査していたが、本年度はやめたらしい

▼緊縮予算のせいか、指導上の迷いか、学校に戻すことが必ずしも児童生徒のためにならないと宗旨替えしたか。公教育ですべてをまかなうにはとうに限界を超えている。