2019年10月4日(金)

▼千葉県の大規模停電の主因、倒木対策について、県議会一般質問で前田茂樹農林水産部長が「『みえ森と緑の県民税(森林税)』を活用して人家裏などの危険な木を伐採しているが、電線沿いも計画に位置付けたい」

▼「災害に強い森林づくり」「県民全体で森林を支える社会づくり」が二本柱の森林税の趣旨が、何だかスケールが小さくなった気がしないか。同税に伴う対策も一昨年度、「土砂や流木を出さない森林づくり」から「土砂や流木による被害を出さない森林づくり」へ、「木の薫る空間づくり」から「森と人をつなぐ学びの場づくり」へと変更した

▼木を見て森を見ずへ、軸足が動いた気がしなくもない。森林税は県民等しく課税するからか、全市町に配分される異色の県税である。このため、森を持たない市町の活用法に、県は工夫を強いられてきた

▼基金への積み立てや木の机、調度品購入が「木の薫る空間づくり」の名目で進められてきた。5年を経過してその問題点が指摘されて廃止。「森と人をつなぐ学びの場づくり」すなわち環境教育へシフトしようとしているが、廣田恵子教育長は木造校舎推進策を問われ「学校環境の質を高める効果がある。県立学校の利用を図り、市町への情報提供などで支援したい」

▼森林税の存在を知らない県民が20代を中心に71・7%。学校現場との連携はこれからということだろう。同時に県と市町半々だった森林税の配分が、市町が急増している。森林環境譲与税の交付が期待されるものの、森林税に関し、県は木を見るのが精いっぱいということかもしれない。