2019年9月8日(日)

▼三重県立高臨時労務員の邸宅侵入容疑での逮捕され、廣田恵子県教育長がまたまた陳謝した。「学校教育に対する信頼を損ね、おわび申し上げる。不祥事の根絶に向けて職員に自覚を持たせたい」。言葉がうつろに響く

▼本人もげんなりしているのではないか。懲戒処分に限定した不祥事の公表基準を見直す考えを示した。誤答した生徒に腕立て伏せを強要した県立高教諭の行為を体罰と認定し、記録に残らない訓告処分にして公表しなかったが、鈴木英敬知事から「感度が足りていない」と批判され、公表基準の見直しを求められたからだ

▼「児童や生徒に影響を与えるものについては、処分の重さにかかわらず県民に公表すべきと考えている」(廣田教育長)。おや、そうなのか。越境入学問題の時も全校調査を渋り、知事に見直しを求められた。数を確認するだけの調査は必要ないと言ったそうである。保護者に就職先を紹介した教諭については調査せず、知事の意向と温度差があった

▼障害者雇用率水増し問題でも当初調査は2年間に限定し、知事にそれ以上さかのぼるのは「複雑。大変」と報告。それでは信頼回復に繋がらない、県教委に戻って考えてこいと押し返され、一晩で改めた。以後、周囲からの批判が相次ぎ「猛省」を繰り返すことになる

▼今回の公表基準見直しは先月末、ぶらさがり会見で知事が要求した。5日の教育委員会定例会までどんなやりとりがあったか。各委員の意見は―。教育委員会への首長権限が強化されてから5年。首長から独立した教育行政機関の性格が、変質しつつあるということか。