2019年8月24日(土)

▼被疑者を捕まえるのが刑事だ、と唐沢寿明さん扮する敏腕刑事が疑惑の同僚刑事に言う。一度逃がすのはたまたまだろうと続ける。「しかし、二度逃がすのは不自然だ。三度逃がしては必然になる」

▼日本テレビのサスペンスドラマ『ボイス一一〇緊急指令室』のワンシーン。道徳を教えようかという教諭の万引事件で、県教委の廣田恵子教育長がまた陳謝した。コミックを万引した小学校教諭は二年前。この3月は四回の常習者である県立高教諭が免職となり、市教委職員のパンの万引事件もあった。必然の条件は備わっている

▼今回は東京ディズニーシー(TDS)でグッズを盗んだ件、というのは念のため。必然になるにつれ新聞の扱いも小さくなる気がするのは嘆かわしきことである。廣田教育長も「学校教育への不安を抱かせたことに心からおわびする」。おわびの対象が定番の「信頼を裏切り」から「不安を抱かせた」へ変わった。県民の心境をよく理解してのことだろう

▼予兆があったかの質問には「予兆ということではなく、絶対にしてはならないこと」。絶対にないと事故の可能性を否定して対策を怠った東京電力を思わせるが、この世に「絶対」があり得ないのは、数々の”予兆“が示している

▼動機について「捜査が継続しており、警察からは教えられていない」という説明も、首をかしげる。留置場へ出かけても事情聴取するのが行政の仕事。本人が処分保留で釈放されているのに警察が教えてくれるまで待つということか。本当なら、職務怠慢といえないか。うそだとしたら、泥棒の始まりである。