2019年8月22日(木)

▼豚コレラ対策として、県は野生イノシシ向けに2度目のワクチン散布に踏み切ることを明らかにした。前回(7月)のいなべ市など3市町から四日市市など6市町に拡大。鈴木英敬知事は「やれることは全てやる。経口ワクチンを効果的に散布し、今後も対策に全力を挙げる」

▼心強い。感染域の中で、養豚場が1件にとどまっているのは知事の「やれることは全てやる」の姿勢かという気にもなるが、決意表明が拡散防止に効き目があるかはむろん定かではない

▼前回は、野生イノシシの感染確認から10日後で、養豚場で発生していない都道府県として全国初の散布だった。その20日後に養豚農家で感染豚が見つかっている。前回散布が「効果的」だったのかどうか。ワクチン散布後に抗体の有無を確認するはずだったが、結果はどうだったか。その経験を踏まえて今回はどんな「効果的散布」になるのか

▼ワクチンは注射での投与の効果ははっきりしているが、経口では確かではない。知事が国に要望しているのも、できることは全てやるためで、効果を確信しているわけではなさそうで、国の許可の可能性についてはそれほど期待できないと感じていることが言葉の端々に漂う

▼投与に理解を示した自民党県連の川崎二郎顧問だが、東海3県の党対策協議会は投与の影響を農水省に求めただけだった。党中央では疑問の意見も多い

▼野生イノシシへの投与は清浄国の判断に影響なく、だから時間稼ぎに国が認めるという疑いは消えない。知事の決意表明を高く評価するだけに、効果についての科学的説明も聞きたい。