2019年8月5日(月)

▼伊賀市のごみ処理施設「伊賀南部クリーンセンター」でパート従業員がマンホールに落下した状態で死亡しているのが発見された。マンホールのふたを開けて清掃中に誤って転落したらしい

▼マンホールを探偵小説のトリックに使ったのは江戸川乱歩で、誰もが注意を払わない存在の背後に恐ろしい闇が口を開けていることを彼の感性が捉えたのだろう。道路工事などでマンホールのふたが開けられているのをよく見かける。周囲にバリケードなどが設置されているが、仮に忘れられたらどうなるか。都市機能は危険と背中合わせのことを改めて思い知らされる

▼県道交差点で散歩中の保育園児らの列に車が突っ込んだ大津市の事故を受け、県が県内の園児の散歩コースを点検した結果、ガードレールや側溝のふたのない危険箇所は2653カ所あった

▼マンホールへの転落死は初耳だが、ふたのない側溝への転落死は、入社以来3件ほど耳にしている。新聞に載ったかどうか心もとないが、うち2人は我が社関係者だった

▼いずれも夜間。1人は自転車で帰宅途中だった。津市の歩道で中学生が2人、たたいたり足で蹴るなど、じゃれあっていたが、1人がやや深い側溝に転落した。駆け寄って引き上げたが、本人はけろりとしてけがなどない様子で、照れて礼も言わず立ち去った。日常よくある出来事なのかもしれない

▼「点検や対策を通じて、かけがえのない子どもたちの命を社会全体で交通事故から守りたい」と鈴木英敬知事。子どもの命を守ることは社会全体を守ること。むろん交通事故からばかりではない。