2019年7月24日(水)

▼安倍晋三首相が参院選後の記者会見で憲法改正の「議論を行うべきという国民の審判が下った」。おや、そんな審判を下したのかと首をかしげるのは自民党へ投票した県民にも少なくないのではないか

▼改憲が特に論戦になった記憶がない。来県した安倍首相も、自衛隊を違憲とする共産党攻撃はしたが、改憲を訴えたわけではない。自民党の参院選公約でも、改憲の順位は高くはなかった

▼にもかかわらず真っ先に改憲に言及したことに、大方の県民はやっぱりとうなずいたのだろう。年金や消費税が争点とも言われたが、参院がそれら政策を左右できると考える向きは少なかったのではないか。改憲への数合わせに過ぎないという意識が、冷めた投票行動になったとも言えなくはない

▼民主党政権時代の平成23年、政策が実行できない理由を問われた当時の岡田克也幹事長は直前の参院選での敗北をあげた。与野党がねじれ、対決法案が国会を通らない。「民意であり、やむを得ない」とやや諦めの口ぶりだった。また、人気低迷については「予算委を開催するから」とも。野党の追及を受け「開けば開くほどポイントを失う」

▼勝ちに不思議の勝ちなし。4月以降予算委開会に応じなかった安倍政権は勝つべくして勝った。改憲勢力が増えとはいえ、優先順位が高くないことを知り尽くしているのが安倍首相でもあろう

▼県内政党の参院選総括は政局としての見方に終始し、れいわ新選組が重度身障者2人を当選させるなど、時代の要請とのずれについて考えるのはいま少し、時間がかかるということかもしれない。