2019年7月10日(水)

▼人間五十年―幸若舞の世界に生きたので最近の人生百年時代にはげんなりさせられるが、高齢者が世間から追い詰められる時代でもあるようだ。最近の運転免許返納の大合唱もその一つだろう

▼高齢者マークが作られ、その車に割り込みなどかけたら罰金6千円などと道交法が改正された時は迷惑運転を認めるような制度はおかしいと大いに主張したものだが、東京・池袋でアクセルとブレーキを踏み間違える事故が起きた途端、高齢者が運転するのは悪だみたいな機運になった

▼踏み間違いは免許取り立ての40代に経験した。何も高齢者に限らない、その死亡事故も歩行者で巻き込まれることが多いと弁論これ努めたが、本紙「まる見えリポート」で、踏み間違い事故は4割が高齢者運転。5年間の死亡事故の全てが高齢者という数字を突きつけられ万事休した

▼のろのろ運転の高齢者マークが黄信号で交差点に入り、青に変わって歩道を走り出した高齢者の自転車と衝突したのを見たことがある。横断歩道に人がいても速度を緩めないのも高齢者が多い。運転技術に自信があり、若い世代と比べ重大事故につながりやすいという鈴鹿サーキット交通教育センターの話は周りを見ていないということだろう

▼体力に個人差があるが、あまり気づかないのが関節の老化らしい。背骨を走る神経に影響を与えて、位置感覚への伝導に支障が出る。手は視覚で補えるが、ハンドルなどで隠れる足の動きは分かりにくいという

▼足が意図した通り動いているか。免許更新では認知症以外にも、高齢者向けの科学的検査が必要である。