2019年7月9日(火)

▼本紙『株式展望』で、岡三証券のシニアストラテジストが趣味の「飲食店の口コミサイト熟読」について書いていた。「久しぶりに行ったら値上がりしていた」というコメントが増えているという。三重交通グループとの懇親会で、三重交通商事が運営する外食チェーン「大戸屋」を話題にしたばかり

▼「人件費や材料費の高騰など、値上げの背景は想像に難くない」と鈴木さん。「大戸屋」も昨年来、そのために値上げや商品のリニューアルを繰り返したが、厳しいらしい。主事業のガソリンスタンドの将来性への懸念から、三重交通商事がフ飲食業に参入したのは4年前。それまでの暗い顔が一変した

▼「飲食業がこれほど魅力があるとは」というのが幹部の決まり文句だったが「値段にお客さんはシビア。10円の違いでがらりと客足が変わる」。『株式展望』は必ずしも上げは「消費者の敵」ではないという説。「ディマンドプル型」すなわち需要増加により価格を引き上げるパターンは株式市場では収益改善につながるとして好材料とみなされる場合も多いという

▼「大戸屋」が昨年の値上げまで好調だったことは確か。値上げとともに新商品販売、人気商品廃止などで需要増加を見込んだが、いまのところ思惑外れ。エンゲル係数が6年前から急上昇し、この2年は横ばい。消費支出の減少が食糧費の比率を大きくしていると言えなくもない

▼貿易収支など経済指標の多くは好調だが、個人消費の伸び率も賃金上昇率も低い。需要増で引き上げて安泰というのはグルメ相手の高級店だけに通じる話なのかもしれない。

大観小観 2019年7月9日(火)
▼本紙『株式展望』で、岡三証券のシニアストラテジストが趣味の「飲食店の口コミサイト熟読」について書いていた。「久しぶりに行ったら値上がりしていた」というコメントが増えているという。三重交通グループとの懇親会で、三重交通商事が運営する外食チェーン「大戸屋」を話題にしたばかり

▼「人件費や材料費の高騰など、値上げの背景は想像に難くない」と鈴木さん。「大戸屋」も昨年来、そのために値上げや商品のリニューアルを繰り返したが、厳しいらしい。主事業のガソリンスタンドの将来性への懸念から、三重交通商事がフ飲食業に参入したのは4年前。それまでの暗い顔が一変した

▼「飲食業がこれほど魅力があるとは」というのが幹部の決まり文句だったが「値段にお客さんはシビア。10円の違いでがらりと客足が変わる」。『株式展望』は必ずしも上げは「消費者の敵」ではないという説。「ディマンドプル型」すなわち需要増加により価格を引き上げるパターンは株式市場では収益改善につながるとして好材料とみなされる場合も多いという

▼「大戸屋」が昨年の値上げまで好調だったことは確か。値上げとともに新商品販売、人気商品廃止などで需要増加を見込んだが、いまのところ思惑外れ。エンゲル係数が6年前から急上昇し、この2年は横ばい。消費支出の減少が食糧費の比率を大きくしていると言えなくもない

▼貿易収支など経済指標の多くは好調だが、個人消費の伸び率も賃金上昇率も低い。需要増で引き上げて安泰というのはグルメ相手の高級店だけに通じる話なのかもしれない。