<三重県知事選 政策集を比較・下>

任期満了(20日)に伴う知事選に向けて候補者が公表した政策集では、新人の鈴木加奈子候補(79)=共産推薦=と現職の鈴木英敬候補(44)=自民、公明推薦=の双方が、行政運営や財政に言及している。鈴木加奈子候補は全国15位の財政力指数を根拠に「県民の暮らしを守る財源は十分にある」と主張。鈴木英敬候補は県民の発想を予算編成に反映させる「参加型予算」の導入や新技術の活用を訴える。

◆入札制度見直し、川上ダムを中止 ― 鈴木加奈子候補◆
■行政運営
入札制度を見直し、最低制限価格の引き下げを訴える。一部の事業は随意契約から一般競争入札に切り替えると説明。公共事業の労働環境を確保することを目的に、公契約条例の制定も訴えている。

水道事業の抜本的な見直しも掲げる。「高すぎる県の水道料金を引き下げ、地元企業や県民の負担を軽減する」「水道事業の公設・公営を守る」と説明。公共施設の障害者雇用を増やすと明記する。

■財政
全国15位となった平成29年度の財政力指数を踏まえて「ないのは金ではなく、命と暮らしを守る福祉の心」と主張。大企業への補助金や大型公共事業を見直し、210億円の財源を生み出すと訴える。

「直ちにできる予算の見直し」に、川上ダム(伊賀市)など大型公共事業の中止を掲げる。知事の退職金廃止と給与半減を約束。貯金に当たる財政調整基金は「県民の暮らし優先で使用する」と訴える。
◆AIで効率化、ネットで資金募る ― 鈴木英敬候補◆
■行政運営
ソフトウェアによって事務作業を自動化する「RPA」と呼ばれる技術やAI(人工知能)を導入し、生産性と正確性を両立させる「スマート自治体」を目指す。時間外勤務の削減や男性の育児参画も進める。

相次ぐ県の不祥事に対しては、処分の厳格化や倫理の徹底などを定めた再発防止策を着実に実施すると明記。国などで公文書管理のあり方が問われたことを踏まえ、公文書管理条例(仮称)の制定も掲げる。

■財政
インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」や、民間から資金を調達して事業を進める「ソーシャルインパクトボンド」などを活用して歳入を確保すると説明。未利用財産の売却も掲げる。

「県庁だけでなく、より多様な発想を予算に反映させたい」とし、県民が予算編成の一部に参加できる仕組み作りを検討すると明記。同様の取り組みはフランスのパリなどで導入されているという。