<1年を振り返って>大学野球 皇學館大、秋の東海初V

【東海地区秋季選手権優勝を決めて喜び合う皇學館大の選手ら=10月21日、岐阜市の長良川球場で】

明治神宮大会につながる東海地区大学野球秋季選手権大会が10月、岐阜市で行われ、秋の三重県リーグを制した皇學館大(伊勢市)が1位決定戦で岐阜1位の中部学院大を下して初優勝した。2015年の東海地区春季選手権で1度優勝している同大だが秋の東海制覇は初。県内の大学でも則本昂大(現楽天)が主戦を務めた2012年の三重中京大以来の快挙だった。神宮大会の出場権を争う東海・北陸・愛知3連盟王座決定戦決勝で中部学院大に敗れて神宮大会出場を逃したが、三重の学生野球史に新しい歴史を刻んだ。

宇治山田商高、駒澤大を経て社会人野球の国鉄名古屋(現JR東海)でプレーした森本進監督は、今シーズンの戦いを振り返り「投手力を含め、守りがしっかりできていた」。

県リーグでは四日市大との優勝決定戦で、4年生右腕の中川奎太が1失点完投して優勝の立役者になるとともに、大会最優秀選手賞を獲得。東海地区大学野球選手権では、市川と同じ4年生右腕市川純輝が1失点完投して、大会MVPに輝いた。

9月に開幕した秋の県リーグは当初、3季連続優勝を目指す四日市大が独走していた。負傷や、学校行事のため主力選手が欠場することもあった皇學館大は、序盤のチーム状態が悪く、一時は自力優勝の可能性も失った。

台風の影響などで順延が続き、終盤は過密日程になった。10月7日の四日市大とのダブルヘッダー2試合目を八回から救援登板の市川の押し出し四球で落としたが、翌日の三重大3回戦で、再び市川が先発登板し、優勝につながる勝ち点1を挙げた。

森本監督は三重大との3回戦を今季の分岐点に挙げる。「もう1つも負けられない試合で市川が素晴らしい投球をした。頑張っている4年生を支えたいという思いがチームに生まれたのではないか」。

4年生投手2本柱のうち、中川は県外社会人チームで野球を続ける。軟式に転向する市川も県内有力チームで地元国体での活躍など新たな夢を追う。森本監督は「4年生が残したものは大きい。私自身選手の可能性は限りないなと感じた。残った選手たちももっと頑張ろうという気持ちで練習に取り組んでいる。試行錯誤しながら、またいいチームを作っていきたい」。

来年からはリーグ戦以外にも、ホンダ鈴鹿、永和商事など県内社会人チームとの交流戦なども新たに始まる予定だ。「社会人チームから野球の技術だけでなくマナーでもレベルの高い野球を学んでほしい」と願う東海地区大学野球連盟理事長の市岡三年・四日市大総監督。森本監督も「切磋琢磨(せっさたくま)して、他県と負けないよう頑張って行ければ」と話している。