2018年12月11日(火)

▼四日市市で昨年8月、ブラジル国籍の6歳の女児が死体で発見された事件で、本紙『まる見えリポート』は、女児の姉が母親からの虐待で「北勢児童相談所に一時保護された」。傷害致死と死体遺棄の罪に問われた母親と内縁関係にあったペルー国籍の男性との一家に児相は関与していたということである

▼「学校は子どもの家庭環境をモニタリングできる窓であり、そこから離れると問題を表面化させるのは難しい」と県児童相談センターの児童相談強化支援室長。昨年度の児童虐待相談件数は前年同期比360件増。うち外国籍が同34件増の116件。多忙さに根本原因があると同情はするが、過去の重篤事例が生かされないことにため息も出る

▼県に初めて児童虐待重篤事例検証委員会が設置された鈴鹿市の6歳男児が母親の内縁関係の男性から頭蓋骨骨折などの傷害を受けた事件は平成22年。男児はやはり保育園を除籍になっていたが、姉、兄の虐待に警察、児相はたびたび関与。検証委は「きょうだいを視野に入れて考えることは基本。未就学の末子に(同様の)外力が加わればどうなるか」「年少(児)が同居していないか、いれば安全か確認する必要がある」と報告した

▼「(北勢児相は)男性が同居しているという程度の認識」とも。内縁の男性の虐待事例は多く「特異な事例とは異なる」。事件直前に四日市から転入しているなど、両事件は類似している。桑名、四日市市の虐待死事件を経て県の再発防止策は少なくないが、外国籍という最も弱い部分で四たび弱点が露呈したと言えなくはない。