2018年11月29日(木)

▼三重ごみ固形燃料(RDF)事業の終了後も、爆発事故を受けた追悼や安全祈願の式典を継続させる考えを鈴木英敬知事は示した。「関係者は皆が続けてほしいと言っている」と三谷哲央議員が質問した

▼質問したのは8月の式典に6年ぶりに出席した知事が、その理由に「15年目の節目」をあげたり、今後の存廃について遺族の意向の尊重と事故の教訓と反省を風化させないことを前提に「どうするか考えたい」と含みのある発言をしたからだ

▼「遺族の承諾」と風化させない「新たな手段」があれば打ち切るとも受け取れる。三谷議員も、それを懸念したに違いない。結果は杞憂(きゆう)だったが、遺族の意向に配慮するのは当然として、強調しすぎるのはどうか

▼「15年目の節目」と言われたり、脳裏に存廃が浮かんでくる時期に「遺族の意向」を強調しては、遺族に負担を押しつけることにもなりかねない。「もう十分です」と言わせたいわけではあるまい。公で営む以上、第一義的に「遺族の意向」に帰結すべきものでもない

▼企業庁の人的配分の都合もあって市町村固有の事務に介入した面は否定できない。RDF特性の調査不足、品質管理もできぬまま稼働を急ぎ、前兆に向き合おうとせず大惨事を招いた。風化させてはならない反省と教訓には、そんな行政の常とう手段の戒めも含んでいよう

▼参加団体への補助金交付も決めた。「終了後の処理体制移行支援」が県の名目で、参加団体は「市町行政を引っかき回した償い」。失政隠ぺいのためなら税金を惜しみなく注ぐことの自戒の式典であることも記憶したい。