2018年10月20日(土)

▼「一部の議員と市長による対立が続いている」と、伊賀市議が市長からの圧力を主張しているという本紙報道で―。「対立」の始まりは、市を二分した庁舎移転問題ということだろうか。とすれば、「圧力」の目的とされるのが移転後の庁舎活用議案の賛否で、採決が僅差否決だったこともうなずける

▼議会と執行部は緊張関係があるのが望ましい。が「対立」となると違ってくる。庁舎関連議案ならともかく、他の議案の賛否も、対立があるからそうなったのではないかというあらぬ臆測を生むことになりかねないからだ

▼「圧力」とは、議案が通らなければ、反対している市議の地元の公共事業が中止になる可能性を岡本栄市長から示唆されたという内容。合併特例債が期限切れとなり、市税をつぎ込むことになるからそうなる可能性は避けられないという〝一般論〟を言ったまで、というのが岡本市長の反論。誤解を招いたことも含めて言ったことは言ったのだろう。執行権を持つ最高責任者の発言として軽率と言えなくはない

▼〝一般論〟か〝報復〟か、聞かされた側は判断できないからだ。合併特例債期限切れの責任を議会側にだけ押しつけるのも一方的だ。何よりも、対立があるとすればその解消に心を砕くのではなく、火に油を注ぐかに見えるのが不可解だ

▼議会と執行部のあるべき姿としてもう一つ、一般的なのが車の両輪だ。両輪の距離は狭ければ倒れるし、広ければ曲がれない。適切な距離を双方ともに腐心する。それぞれ独自、あるいは別々に進む「対立」では、市民の負託に応えているとは言えない。