2018年10月19日(金)

▼悪夢が再現した。東洋ゴムの免震ゴムの性能が改ざんされていることが発覚したのが3年前。県の施設では伊勢庁舎など3施設で使用されていて、最終の伊勢庁舎の交換が完了したのが昨年8月だ。1年を経て、また伊勢庁舎の免震用オイルダンパーが、性能検査記録データを改ざんされていた

▼県の施設としてはほかに新装なったばかりの四日市北警察署。市町ではオープン間近な伊勢総合病院など6施設。民間施設も6件。東洋ゴムは県内に工場があり、労組出身の県議も。「きっと誠実な対応をしていただけると信じ」当初出方を待って「即座に交換とは言及しなかった」と鈴木英敬知事。思いは届かず、対応は他の自治体と比べても疑問で「極めて不誠実」だと交換を申し入れた

▼今度の原因企業、油圧機器メーカーのKYBの場合、津市に工場があり、免震装置は同工場からの出荷。もっとも情報源に近いはずなのに、県は「現場は混乱しているようで十分な返答を得られなかった。知らない、分からないの一点張りで困っている」

▼担当者が来庁して説明した東洋ゴム以上に情報収集は難航しているようだ。各工場長らと構築しているネットワークも東洋ゴムの時と同様、機能していない。国土交通省が津工場へ立ち入り検査に入ったことも把握していなかったか

▼石原産業のフェロシルト事件の時も、当初は「大企業がまさか」(野呂昭彦前知事)と信頼をにじませ、のち「企業倫理のかけらもなく」(同)へ。四日市公害の教訓は、その事務移管、資料の散逸とともに、県にはどこにもないと言っていいだろう。