大観小観 2018年5月1日(火)

▼ああ言えばこう言う―が長年接してきた県行政のに肌感覚だが、国や市に比べても際立っている。伊勢市の県道で、石灯籠の上部落下による死亡事故を招いたことに対するコメントを参照されたい(本紙『ニュースの断面』)

▼国と市が「(過去)物損事故が起きた時点で速やかに全ての石灯籠を撤去していれば、今回の死亡事故は起こらなかった」(国交省三重河川国道事務所・鈴木克章副所長)、「(危険性を認めつつ)存続を望む市民の声もあり、物損事故を受けて即座に全撤去に踏み切れなかった」(伊勢市都市整備部・上田淳一維持課長)

▼対して県は「道路標識や電柱への衝突など、物損事故はたくさんある。石灯籠の物損事故だけを特別視し、死亡事故につながるとは考えられない」(上村告道路管理課)。平成24年の包括外部監査で石灯籠の不法占有状態を指摘され、調査・点検し「通行者の安全を確保していきます」と回答した部門の言葉である

▼何より「誠意」に格段の差があると感じるのは筆者だけか。「職員は変化を嫌う。倉庫の隅からほこりまみれの書類を探し出してきて、これがあるからできないと、できない言い訳がたくみ」と言ったのは北川正恭元知事。意識改革を進めたが、むしろ磨きがかかっている

▼信頼できる第三者への石灯籠譲渡策を提案した包括外部監査に、県は「占用許可の対象は、地方公共団体を考えています」。肩入れした社団法人に解散命令を出すことになって以来、君子危うきに近寄らずと、あつものに懲りてナマスを吹くが、県の石灯籠政策だったと言えようか。