2018年3月6日(火)

▼働き方改革関連法案から裁量労働制対象拡大を全面削除する一週間も前の知事会見だから、鈴木英敬知事も肩に力が入っていたか、法案が通った場合に裁量労働制の対象になる県職員がいるかを聞かれ「うちの県で」と問い直してから「県庁でって、あんのやったっけか」と事務局の戦略企画部に。「どうですかね」の返事を受け「分かんないです」

▼一定時間働いたと見なして賃金を支払う労働者と使用者の間の取り決めが裁量労働制で、関連法規は労働基準法。適用範囲は民間で、任用に基づく公務員、すなわち県職員が対象になるはずもないのに「県庁で、やったっけか」と知事が問うのは、裁量労働制のような仕組みを県庁で取ったことがあるかという意味か。とすれば、戦略企画部の「どうですかね」も意味ありげに見えてくる

▼県は残業時間を一定時間で打ち切る一方で、超過勤務の虚偽申告で裏金に充てるなど、労働時間を便利に使い回してきた。裁量労働制が組織にとっていかに重宝か、実質労働時間より短くなるのなら実施する意味のないことを、誰よりもよく知っているに違いない。「どうですかね」は「そっくり同じではありませんが」の役人用語ということか

▼厚生労働省の不適切データ問題について、知事は「私がいろいろ申し上げる立場にありませんので、それはコメント控えたいと思いますけど。一般論で言えば、よく、何ていうか、精査はする必要はあると思いますけどね」。同データのために裁量性拡大が削除された今、もう少し踏み込めばよかったとちょっと悔やんでいるかもしれない。