<まる見えリポート>働き方改革・鈴鹿の企業 在宅、時短で女性活躍

【リモートワークでパソコンに向かう村田さん=四日市市南いかるが町で】

女性活躍や働き方改革などに向けた取り組みが国を挙げて進む中、企業の雇用形態も多様化が進む。三重県鈴鹿市飯野寺家町の不動産・建設業「飯田建設」(木原敏彦社長)では3年前から、出社せず自宅などで業務をするリモートワークを取り入れ、順調に成果を上げている。木原社長(63)は「仕事に専念できる点では最高に効率がいい」と高く評価する。

飯田建設は昭和26年に創業し、現在は2代目。従業員約30人のうち約半数が女性。現在、3人の女性社員がリモートワーク。そのうち1人は今月中旬に県外へ引っ越すが、転居先で仕事を継続する。

入社11年目の建築士星野さや香さん(34)=桑名市陽だまりの丘=と、入社6年目の経理村田理恵さん(28)=四日市市南いかるが町=はいずれも出産をきっかけにリモートワークに転換した。出社は月1回の会議など必要時だけ。時給制だが、有休やボーナスはある。

星野さんは3歳の長男と11カ月の次男の子育てに奮闘中。1日の就労時間は次男が一人遊びや睡眠中の4時間程度で、申請用の図面や書類を作成する。4月から次男の保育園入園が決まっているため、8時間に延長する予定。「子どもに合わせて仕事ができるのが一番の利点。通勤時間も考えずに済む」「子育て中に新しい会社で一から仕事を覚えるのは大変。慣れた会社で力を発揮できる」と評価する。

村田さんは賃貸部門の経理を担当し、貸家主約200人の家賃管理をしている。2歳半の長男を保育園に送り届けた後、午前8時半から午後5時半まで、昼食の休憩を挟んでパソコンに向かう。「初めは自宅で経理の仕事ができるのか不安もあり、できないことも多かったが、インターネットを使った振り込みに移行するなどできるように考えて問題点は解消してきた」と振り返る。

夫の転勤で千葉県松戸市への転居が決まっているが、自身の仕事に不安はない。「必要とされているのはうれしい。子育てを優先しながら働ける環境に、ママ友からはうらやましがられる」と語る。

営業の中村安希さん(31)=四日市市川島町=は入社11年目。来店客に物件の紹介や現場での案内などをする。育児休暇を10カ月で切り上げ、昨年8月から時短勤務で職場復帰した。1歳4カ月の長男を保育園に預け、午前9時から午後4時まで働く。リモートワークではなく時短勤務を選択したのは「外に出て働きたい」との思いがあったから。「少しずつペースがつかめてきたところ。どっちの選択が良いのかは分からないが、今の働き方はメリハリがついて自分の性格には合っている」と受け止める。

「社内の雰囲気が分からない」「1日一人で家にいると孤独を感じる時がある」と課題もあるが、同社では在宅勤務の2人の精神的ケアのため年2回程度、会社経費の「ママ会」も実施してきた。2人からは「子どもの話が中心になるが、いい気分転換になる」と好評だ。

木原社長は「人材は人財。一人前に育つまでに時間がかかる中、どう伸すかが会社の成長につながる。人の流れを止めないことが結果的に物や金を生み出す。今後も必要に応じて増やしていく」と話していた。