2018年3月7日(水)

▼議員定数を現状の51に戻す条例改正案を提出した5議員を代表して趣旨説明をした西場信行議員が、舘直人議員から、そうすると1月現在では「一票の格差が最大で3・08倍となる」のを確認した上での提案かと問われ「初めて知った」。人のよさがにじみ出ている

▼異論のある向きは、次の奥野英介議員とのやりとりを参照願いたい。「(提案は新年度当初予算案同様)禁じ手に近く、好ましくない。大義も説得力もない」(奥野議員)「好ましくないやり方とある程度承知しているが、これしか方法はなかった」(西場議員)。認めてしまった格好だ

▼禁じ手として「同様」と称された当初予算案の場合、鈴木英敬知事はどう提案説明したか。「極めて深刻な財政状況にあっても、災害対策や子どもたちの未来のための取り組みには重点的に予算を確保した」。「安心や希望のためだ」と言わんばかり。今回の提案になぞらえれば「地方の衰退を見過ごせない議員としての使命感からだ」となろうか

▼人のよさが議員の資質として必ずしも満点とは言えないのが政治の世界ではある。提案者5人のうち、3人が議長経験者だ。自身の選挙区が定数減になるから提案したのだという〝個人的事情〟だけで同僚の理解を得るには少し議会全体への責任が大きくなりすぎている気がする

▼国政選挙と違い、公職選挙法は地方選挙の「地域間均衡」を認めているが、現行条例に反映された様子はない。議論を尽くして基準を探るのは正論としても、いまさらという県民の一定数の思いにどう答えるかも、議長経験者の務めだろう。