2017年11月20日(月)

▼何の問題だったか記憶は薄れたが、昔継続して紙面で追及していたことの内容について、県職員から聞かれたことがある。反響に気をよくして大いに語ったのだが、語り終えるのを待っていたように言った。「問題の背景には何があるの」

▼大相撲の横綱日馬富士の暴行問題は、ビール瓶で頭を殴ったという衝撃的な事実などがあいまいになるにつれて、関係者の不可解な動きが取りざたされ、果ては相撲協会の勢力争いまでが背景として注目され始めた。何か背景があるのではないかと考えるのが、お立ち会いの目というものに違いない

▼診断書が二枚あって、一通が警察に、一通が相撲協会に届けられ、右中頭蓋底骨折や髄液漏というおどろおどろしい診断名が実は疑いで、その可能性はほとんどなく、被害者である貴ノ岩は事件のあとも巡業を続けていたなどと聞くと、好奇心がむくむくとかま首をもたげてくる。親方同士の確執が絡むとなればなおさらで、テレビ、新聞がそれに応えようとしているのは当然だが、個人的にはそうした〝背景〟にはほとんど関心がない

▼関係者が何を考えているかは別にして、関心があるのは、仮に暴行問題の事実が平手打ちやげんこつだけだったら、結果が違ってくるのかということである。悪酔いをしようがしなかろうが、暴力行為を振るったとすれば、本人はもちろん、所属部屋、相撲協会の代表も管理責任を問われるのが、公益財団法人というものだろう

▼土俵上の勝負を純粋に楽しみたい。相撲以外のことを持ち込んでほしくない、というファンも少なくないのではないか。