2017年11月19日(日)

▼安倍晋三首相の所信表明で、なるほどこのことかと勝手に合点したのは50万人分の介護の受け皿を整備すると強調したことだ。鈴木英敬知事が先月末の県議会予算決算常任委員会で、昨年の反省として「介護分野などをもう少し前進させられればよかった」と語ったことへの唐突感が氷解される気がしたのである

▼施設での虐待以外に介護施策について知事の口から聞いた記憶がない。医療従事者の不足を語り、障害者雇用の促進を語り、女性の家事負担軽減を語っても、介護問題に真正面から向き合うことはなかったのではないか

▼首相が介護人材確保の強化、処遇改善し、お年寄りも若者も障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる「1億総活躍社会」を構築すると提唱する動きをみて、感じることがあったに違いない

▼障害者の職場学習の場としての「ステップアップカフェCotti菜」が3周年を迎え、知事は今でこそ設立の趣旨について、障害者の実雇用率全国最下位の脱出策の一環だったとよどみなく語るが、3年前は「労働者不足なので障害者を活用する発想は基本的にない」。福祉の一環を強調していた。農福連携全国都道府県ネットワーク会長に就くなどで、障害者も健常者と変わらぬ労働力という考えに至ったとみえる。介護者不足すなわち「合理的配慮」への理解が深まったということでもあろう

▼安倍首相の方は、所信表明が一番短く、読み忘れるなど、丁寧な説明への疑問が指摘されているが、理解を深めた知事のやる気モードに期待したい。