2017年6月22日(木)

▼「不適切な事務処理で作られた名簿から選んだ契約先だが、契約の内容は法令に基づいており、無効にするほど重大な瑕疵はない」と、本来対象外の事業所と随意契約を結んだことについて県雇用対策課

▼それはそうだろう。勝手に契約しようと声をかけておいて、あなたは契約相手とは違ったから解除しますとは、いくら鉄面皮の県でも言いにくかろう。契約違反で訴えられて敗訴でもしたら、恥の上塗りになりかねない

▼地方自治体の契約は一般競争入札が原則。随意契約は政令や地方自治法施行令に定められた場合に限られる。障害者の自立支援などの政策目的を実現させるために関連福祉施設を相手先にするのは施行令が認める一つで、県はこれを利用して障害者の雇用に積極的な事業所まで契約先を広げるルールをつくったに違いない

▼対象外の事業所と締結しては地方自治法、同施行令や会計法、また県の内規か要綱に違反する可能性があるが、それはまあ、言わぬことにして、民法上の契約の問題だけについて「無効にするほどの重大な瑕疵はない」ということで終えようということでもあるのだろう

▼自分たちの行動規範である法へのこだわりのなさか、臭い物にはフタか。事故繰り越しを前提に事業を進め、発覚が不安で公文書を改ざんした5年前の鳥羽港改修工事不適正事務を思わせる。法令順守、血税で仕事をしている緊張感に欠けると総括したのは鈴木英敬知事だったが、意識改革は浸透したのかどうか

▼3年間にわたって手続きを怠っていた職員は「多忙で忘れていた」。こだわりはないのである。