2017年6月9日(金)

▼教育行政に携わる者はこうでなければなるまい。規則違反の越境入学者百十六人という結果に、鈴木英敬知事が「猛省を」と言った翌日、廣田恵子県教育長は詳細調査をしない考えを示し、首長の教育への介入をぴしゃり

▼鈴木知事の「猛省を」は県教委が一部発覚した学校だけでフタをし全校調査しない方針だったことで、廣田教育長のは、教職員らが違反入学者の保護者に就職先などを紹介していたことに「一つ一つをたぐることは考えていない」。フタは同じようでもある

▼就任に際し行政出身を指摘していた。前任者のような教育畑ではありません。隙のある答弁はいたしませんということでもあろう。全校調査をしないという当初方針は「どう解決するかということが先になってしまった」。手順前後だったという答弁

▼鈴木知事の「猛省を」にも「まずは規則を守る仕組みを作った上で周知徹底」。過去の清算を未来の構築へ置き換えた。秀逸なのは、就職先紹介の教職員について「有償で紹介するなど、法律に触れるようなことではない」。違反百十六人のうち紹介を受けたのは百六人。誰も就職していないのだから、就職見込みを裏づけるための手助けという疑いが出るのは当然だが、職安法の問題にしてしまった

▼むしろ「確認していなかった県教委に重い責任」。末端の共犯者より上部の監督責任が罪は重いという理屈だが、組織ぐるみだったと言っているのかもしれない。紹介先との関係を含め、安倍首相らのすり替え攻撃とは別に、文科省ぐるみの天下りネットワークをちょっと連想してみたくなる。