―全身脱毛やハーブエステ― 「moana(モアナ)」代表・松村麻理亜さん

【「将来は店を大きくして都市部に支店を出すことが夢です」と話す松村さん=鈴鹿市大池で】

昨年5月、三重県鈴鹿市大池に「moana(モアナ)」をオープンした。全身脱毛、ハーブエステやエステマッサージの手技と美肌治療機器を使った光フェイシャルを提供し、丁寧な施術と低価格でリピーターを増やしている。施術は予約制。

ひげ脱毛を体験した男性らは「ひげそりの回数が減り、カミソリ負けがなくなった」「マスクのけば立ちがなくなった。もっと早く知っていたら」と口をそろえる。2週に1回の施術で、早い人は1回目、遅い人でも3―4回で伸びるのが遅くなり、平均10回ほどで生えてこなくなるという。

エステに訪れた40代女性は、「気になっていた顔の毛穴が目立たなくなり、しみやくすみも薄くなって顔色が明るくなった」と、1回の施術で効果を実感し、毎月通うようになった。来店する度に「化粧乗りが良くなって、おしゃれするのが楽しい」などと、うれしい報告をしてくれる。脱毛で効果を実感し、エステに挑戦する男性も多くなり、「エステは女性だけという先入観があったが、肌がすべすべで気持ちいい」と好評を得ている。

鈴鹿市で6人きょうだいの長女として生まれた。共働き家庭で、幼少期から弟と妹たちの面倒をみながら、小中高とずっと母親代わりをしてきた。友だちと遊びに行く時も、7歳下の妹と9歳下の弟を連れて行き、そのうちに誘われなくなりさみしい思いもした。

高校在学中、弟たちの面倒を見る傍らアルバイトにも励み、運転免許を取得した。卒業後は、津市の高田短大に進学し、母の古い車を譲り受けて通学するようになった。弟たちの手がかからなくなり、マイカーで行動範囲も広がったことで、学生生活を楽しんだ。「弟や妹5人の子育てを自分に押しつけてと、不満を感じていたが、高校も短大も私立に通わせてもらい、成人式には立派な着物を仕立ててくれた両親に、今は心から感謝できるようになった」という。

同短大保育科を卒業後、産婦人科病院の託児所で働くようになった。陣痛に苦しむ母親、赤ちゃんの元気な産声を聞いた瞬間、母への感謝が湧き上がり、保育士は天職だと思った。しかし、看護師のいじめに合い、ストレスからうつ状態になり半年間休職した後、退職を余儀なくされた。

退職後は、外に出ることも、人としゃべることもできなくなり、家に引きこもるようになった。そんな様子を心配して訪ねてくれた短大時代の友人から、友人の母が経営しているスナックを手伝ってほしいと頼まれ、アルバイトをするようになった。人と接することへの恐怖心が少しずつなくなり、お酒は飲めないがお客さんと会話をすることが楽しくなっていった。

そのうち、我が子を安心して預けられる場所がないことに悩むシングルマザーらが多いことから、保育士の資格を生かして夜間の託児所を開設した。口コミで利用者が増え、近くに住む弟や妹に手伝ってもらうようになったが、開設から3年後に体調を崩して託児所を閉めた。

体調が良くなった昨年、以前から興味があった脱毛とエステの講習を受け、サロンを開業した。「多くの方々に施術効果を喜んでもらえる幸せとやりがいを日々感じています。これからは人材を育成し、将来は店を大きくして都市部に支店を出すことが夢です」と目を輝かせた。

略歴:昭和63年生まれ。平成21年高田短期大学保育科卒業。同年産婦人科病院入社。令和4年ビューティーサロン「moana」創業。