─ドライフルーツ好評─ 業務用製菓材料製造販売「ワカショク・ワカヤマショクヒン」不動産賃貸「千代田ビルディング」社長 伊藤公さん

【「生産から販売まで一貫する6次産業化を目指したい」と話す伊藤さん=四日市市千代田町で】

三重県四日市市千代田町の「ワカショク・ワカヤマショクヒン」(以下、ワカショクと略)は、父の故範親さんが曽祖父の代から続く「伊藤製粉製麺工場」を経営する傍ら、業務用製菓材料製造卸会社として昭和61年に創業。平成2年には、新たに不動産賃貸業界に参入し、学生向けマンションを提供する「千代田ビルディング」を創設した。

平成24年、体調を崩した父を継いで2社の社長に就任した。ワカショクでは、業界2位のシェアを誇るドレンチェリーやオレンジピールなどの天然フルーツの砂糖漬けに加え、令和3年にはナシやシャインマスカット、イチゴ、ビワ、オウトウ(黄桃)など、県産の完熟果物を使ったドライフルーツ「果(か)のまま」を開発した。

「果のまま」は同年、多気町にオープンした商業リゾート施設「VISON」での販売やネット販売も始め、その年の内に、市のふるさと納税の返礼品に選ばれた。翌年、市内の企業から取引先への景品の依頼を受け、試行錯誤の末完成させた四日市産ナシのドライフルーツを提供した。「癖になるおいしさ」「贈り物にしたい」など、全国各地からうれしい反響が寄せられ、注文が殺到するようになった。

今年1月には「みえの食セレクション2022」に選定され、従業員一同で喜びを分かち合った。「旬の完熟フルーツならではのおいしさを多くの方々に認めていただき、県産果実のPRにも貢献できてうれしい」と話す。

「ワカショク」はおいしさを届け、「千代田ビルディング」は自分が住みたくなる部屋を提供することを目標に、両社の社員13人と心をひとつに取り組み、コロナ禍でも業績を伸ばしている。

四日市市で2人姉妹の長女として生まれた。幼少時は病弱で、母に背負われて病院通いをしていた。小学時代は重たいランドセルを背に帰宅すると、「よく帰ってきた」と大喜びで出迎えてくれた父と栄養ドリンクを半分ずつ飲んだことが懐かしく思い出される。仕事が趣味だと、楽しそうに働く父が大好きで、いつからか将来は父の跡を継ぎたいと思うようになっていた。

中学では手芸部、高校では速記と珠算部を掛け持ちで運動には縁がなかった。四日市商業高校卒業後は、父の紹介で名古屋市の食品商社「トーカン」に入社。4年間、食品流通についての知識を深め、結婚を機に夫と共に退社して、夫は営業、自身は経理事務担当として家業に携わるようになった。

3人目の子どもが生まれた翌年、父が「ワカショク」を創業。その4年後には、四日市大学の創立に伴って、市と大学から学生向けマンション建設の依頼があり不動産賃貸業に参入、4年間で4棟(133室)のマンションを建てて経営に乗り出した。

座右の銘「働くことは、はたを楽にすること」を胸に刻み、意欲的に異業種への参入を果たす父を支えながら、子育ての傍ら無我夢中で働いてきた。

子どもたち3人は他企業を経て家業に入り、長男(41)と次男(38)は製造と営業、長女(37)は経理事務を担当している。「曾祖父から続いてきた家業を子どもたちに引き継げることが何よりうれしい。より良い状況にしてバトンタッチしたい」と語る。

「安心・安全な食を追求し続け、将来は自社製のビワに加えてキウイやイチジクも栽培し、生産から販売までを一貫して手がける6次産業化を目指したい」と目を輝かせた。

略歴:昭和32年生まれ。同50年県立四日市商業高校卒業。同年「トーカン」入社。同55年「伊藤製粉製麺工場」入社。平成24年「千代田ビルディング」社長就任。同25年「ワカショク」社長就任。同28年四日市商工会議所女性部理事。令和4年「伊藤製粉製麺工場」と「ワカショク」を統合し社長に就任。

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