―常に全力投球で― 組織開発・人材育成コンサルティング「AWESOME EYE」社長 菅生としこさん

【「難しい課題ほど燃える。常に全力投球でやっていきたい」と話す菅生さん=四日市市鵜の森で】

三重県四日市市城東町で平成20年、組織開発・人材育成コンサルティング会社「とこわか」を創業、同28年の法人化に伴って「AWESOME EYE」と社名変更した。愛知県の「トヨタ自動車」本社で組織・人材開発部門に従事した12年間のキャリアを生かし、「望む未来を実現する人と組織をつくる」ことを理念に掲げて各地の企業の問題解決支援をしている。

社員100人ほどの物流会社からの依頼で、上場を実現させるためのサポートに携わった。まず、経営者、幹部らとの面談から本質的な問題を明確にした。組織が大きくなるにつれ社長の仕事が煩雑になり過ぎており、自立した組織体制を整えることや人材育成のための社員研修を重ねた。ひとつの課題が解決すると、次のステップへの課題が見えてくる。半年後、社長から「止まっていた会社が動き始めたようだ」と言われた。まだまだ道半ばだが、引き続き全力を尽くす決意をした。

社員5000人ほどの製造企業から、女性活躍推進法に伴い、女性社員の個性と能力を十分に発揮できる場を広げたいと依頼があった。女性社員約500人のほとんどが総務や人事、経理などの事務系スタッフだった。例えば、今まで当たり前だと思っていた業務の進め方を目的と目標に照らし合わせて考え、大幅に効率化するなど、与えられた仕事の範囲を広げて問題解決ができるようになった。

女性1人1人が広い視野で会社全体を捉え、積極的に意見を出し合いながら多様性のある組織づくりをすることが会社の成長につながる。半年後、人事担当の女性から「女性活躍推進プロジェクトが始まった頃に比べ、自発的に動けるようになった」と聞き、「成果を感じてもらえてうれしかった」と話す。

愛知県豊田市で3人姉妹の長女として生まれた。幼少時はおじいちゃんっ子で、いつも父方の祖父の膝で甘えていた。足が速く、小学校の運動会ではいつも1等賞になり家族を喜ばせていた。中学の3年間はテニス、高校では新体操を始めたが、腰を痛めて1年でやめてしまった。

愛知教育大教育学部に進学、国際文化科で学び始めた。入学祝いに車をプレゼントしてくれた祖父を乗せて、祖父の大好きなカラオケ喫茶やうどん屋さんに出掛けた時の笑顔が懐かしい。2年生の冬、交通量調査のアルバイト中に信号待ちのバスの運転手さんと「寒いね」と身ぶりで言葉を交わした。夕方、勤務を終えた運転手さんが「お疲れさん」とタイ焼きを買ってきてくれた。「熱々のタイ焼きに身も心も温まり感激した。自分もこんな心遣いができる人になりたいと思った」と振り返る。

トヨタ自動車と共に発展した豊田市に生まれ育ち、就職は迷うことなくトヨタ1択で受験し、採用された。組織開発・人材開発の部署に配属された。大規模カンファレンスの企画、運営や他社との交流イベントや社内各部門の組織づくり、データを使った問題解決、人材の育成、組織づくりなどの業務に12年余り携わり、トヨタ式問題解決法を整理・体系化し、全社に広める仕組みを上層部に提案し、構築した。

今春、長女(18)は県外の大学に進学し、夫(52)と長男(17)の3人で暮らしている。子どもの誕生日には時間を合わせて、外食に出かける。「出張で留守にすることもあり、家事を分担してくれる夫と長男に感謝。家庭は心からゆったりとくつろげる場」と話す。

「組織開発とは経営者、社員、会社にとってウィンウィンの取り組み。仕事に充実感を感じ、楽しく働く人が増えていけば企業は成長する」と話し、「難しい課題ほど燃える。常に全力投球でやっていきたい」と意欲を語った。

略歴:昭和45年愛知県生まれ。平成4年国立愛知教育大卒業。同年トヨタ自動車入社。同20年「とこわか」創業。同28年法人化し「AWESOME EYE」と社名変更。同29年四日市商工会議所入会。

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