預金封鎖はあるのか

 富裕層の、今最も恐れていることは預金封鎖です。日本国のメガバンクの不調が伝えられるにつれ、皆様の心配の種は、少しずつ脳のどこかで、膨張しつつあるのではないでしょうか。預金封鎖は預金の何割かのカット(新円・旧円切り替え)を伴います。試みに、これに関した、実施可能性のある一連の経済政策を列記してみます。

 銀行国有化、銀行の会社更生法申請、預金封鎖、国債増発、ハイパーインフレ、デノミネーション。書いていて気恥ずかしい思いがします。流言蜚語(りゅうげんひご)を流しているのではと自戒もしますが。恐ろしい未知の領域ですが無いとはいえない、実施したほうが一時的混乱を招くにせよ、日本経済再生の早道であるという点に、引き返すことのできない道に追い込まれてきたのかなと暗澹としたものを感じます。

 日本で教えられてきたケインズ経済学は有効需要の理論という一点に重点が置かれて伝播されてきました。1936年に著された「雇用・利子および貨幣の一般理論」にはもうひとつの大きな柱があったのではないでしょうか。それは階級無き日本では語られることがほとんど無かったようです。1929年の世界恐慌を目の当たりに見たケインズには、労働者と資本家との対立を説いたマルクスに、並々ならぬ学問的対抗心を抱いたに相違ありません。ケインズは労働者の中に経営者という層がいるとしました。「資本家は保守的で冒険しないが、経営者層が新事業を創出し実施することにより需要を産み出す」という風に筆者は理解しています。

 銀行の頭取達が竹中財務相の元に押しかけたのは、経営責任をとらされる恐怖もあったでしょう。長銀の元役員によれば、銀行の役員といえども退職慰労金が、責任を取らされて、もらえないとなるとそれまでのサラリーマン生活が吹き飛んでしまうほどのダメージをこうむるそうだ。ましてや取締役の座が 近づいたときから買い貯めて来た自社の銀行の株価が4分の1~10分の1になっては、公的資金の注入をかたくなに拒むのもむべなるかなです。(責任をとらされて退職慰労金が吹き飛ぶから)

 頭取といえども労働者階級の経営者層に過ぎないということを如実に、具体的に見せつけられたのが、この押しかけ劇だったと私には見えます。あいまいなまま来た戦後の日本の社会体制が、市場主義の荒波のもと残酷なまでに露呈しています。

 預金封鎖に対抗する方法ですが定期預金をしないこと、国債を買わない、社債を買わないことの3点です。なお、大手都市銀行は資金繰り的には何の問題もありません。