エル・リコな時間・空間・建築 ~ ルーベンスの家

庭の正面中ほどにある柱廊はどこかでみたことがあるようなと感じていたら、ガイドがルーブル美術館所蔵のルーベンス作の大作「マリー・ド・メディシスの生涯」の背景に使われていると説明してくれた。

 引き続きベルギーのブリュッセルをご紹介いたします。今回はルーベンスの家です。

中庭から見上げた邸宅の壁面。なんという壮麗さよ。

中庭から見上げたもう一方の壁面

ルーベンスの家は市の中心部に位置します。アントワープ中央駅を背にして、大通りであり、快適な買い物道路でもあるメール通りを港の方向に徒歩で進んで、左折してすぐのところにあります。メール通りは東京・銀座の歩行者天国の如き気持ちの良い大通りです。銀座と異なる点は、両側の建築群が歴史的建造物群か、そうでないかにあります。

 これが画家の家なのか、というため息がでました。街中にある家ながら、幅広い道路に面した広壮な邸宅は、広い中庭を擁していました。
「芸術家が孤独な作業を通して独創的作品を生み出す」という認識が定着するのは19世紀になってからのことだそうです。ルーベンス自ら設計し、1610年から5年がかりで建てられたこの屋敷は、7ヶ国語を自由に操って外交官としても大活躍したルーベンスのアトリエ工房でもありました。現在は市立博物館として一般公開されています。

 大きな工房を主宰していた彼は、生涯に2000点の作品を残しました。