エル・リコな時間・空間・建築 ~ ゲント市訪問

何故今ベルギーなのか

 ベルギーは主にフラマン人とワロン人の二つの民族によって構成されています。言語は、フラマン人はシーザーのガリア征服の際、ゲルマンの領域にとどまった民族で、オランダ語の方言であるフラマン語です。一方ワロン人はローマ領としてラテン化し、ラテンの言葉であるフランス語を話します。また第一次大戦後ベルギー領となった、かつてのドイツ領に住む人々はドイツ語を話しています。

 首都ブリュッセルは、10号で紹介したように、EU本部やNATOなどの機関が集まる『ヨーロッパの心臓』と呼ばれる国際都市です。これには、フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルクと国境を接し、ドーバー海峡によってイギリスと対峙しているという地理的環境もありますが、ベルギーがゲルマンとラテンというヨーロッパの二大民族の融合した国であることが、大きな要因であるようです。

 ゲルマンとラテンの文化がたくみに調和したこの小さな国は、日本人にもいろいろ考えさせてくれ、道しるべとなるものを提示しているような気がします。

 ヨーロッパを知るのに、ベルギーを訪れるのは有益であります。日本人が訪れることが少ないだけに。今回紹介するゲント市などは、日本人が訪問することが稀なようです。ブリュージュとブリュッセルの間にある港町です。「青い鳥」の作者メーテルリンクや神聖ローマ帝国皇帝カール五世の生誕地として有名です。